助手、て…?誰が?私が、あの滝さんの?
滝さんは柔らかい微笑を浮かべたまま、こくりと一度頷いて見せるだけで特にそれ以上何も言わない。
弥生さんへと視線を送れば、無表情の中に微細に怪訝を孕ませていて。滝さんの様子を窺っているように見えた。
どうしよう、てか、どうすればいいんだろうか。私は、何て返答を出せばいいんだろうか?
「…あ、の…」
「ん?」
「ちょっと、よく話が…」
「率直に言うと、君のピアノに魅せられた。でも、今の演奏は君の50%の努力と実力だ。」
じゃあ、後50%は何だと思う?と問いかけながら片手で私がさっき弾いた曲の出だしを弾く滝さん。
その指に見惚れていれば、滝さんはゆっくりと言の葉を紡いだ。
―――誰にでも有るものじゃない。
君にしかない、才能だよ。
「その才能を持て余してるだけなんて、君のピアノが泣くよ?」
「……、」