「楽器やってなかったんだ」

野口くんは
以外そうにそう言う。



「う、うん」



・・・私は今まで、ギターをやってるってことは誰にも言っていなかった。

理由は、ただ1つ。



ギター弾けるからって、周りにゴチャゴチャ言われるのが嫌だったから。


中学生の頃は、友達みんな楽器やってるっていったってピアノぐらいで。
ピアノやってるって言っただけでも、何故か周りから、嫉妬や羨みの視線が飛び交っていたのに、ギターなんて物珍しい楽器を演奏できるなんて言ったら

ピアノ以上の、嫌な視線を浴びせられるのはわかってたもん。



だから、特に誰に何を言うわけでもなく・・・


ちなみに、このことを知ってるのはけいたろだけ。






「てっきり、ギターかなんかやってたのかなーって思ってた」





え?




「なんで?」




「だって、空のギターに合わせて指が動いてたからさ」





・・・図星。



野口くん、鋭い。