僕は本当にここにいるのだろうか。何か息苦しい。そんな感情に包まれながらただ一日を過ごしていた。
自分の空間はこの狭い机だけ。四月、一人だけD組に飛ばされる。成績不振が理由だろう。当たり前だ、あんな生活を送っていたら何事にも力が入らない。成績上位クラスのA組からD組に落ちる。このままずるずると人生の負け組みへと落ちていくのかもしれない。そう感じた。

孤独感は行動範囲を狭くさせる。去年までなら許容されたこともこの新しい空間では制限がかかる。串田やユッキがいれば。別に一緒にいてくれなくてもいい。同じ空間にいるだけで心持ちは変わる。だけど串田やユッキはいない。
やさぐれていた。目が死んでいる。人見知りも何もない。嫌われたくない気持ちが強いから僕は人見知りになるんだな、だから思ったことがうまく言えないのだ、そう思った。
今は嫌われてもかまわない。
「うるさい、黙れ」
「この不細工が」
誰に何だって言えた。僕がD組でどう思われているかなんて知らない、興味もなかった。
当然、D組からは避けられる存在になった。僕も誰も近づける気はなかった。机にどっかりと座り、魂が抜けたように机にうつぶせになる。氷のように冷たい目でじっと一点を見つめていた。
ただそこには同じ目をした男がもう一人いた。