「雪は……いつか溶けるよ」


無意識のうちに俯いていたあたしに、静かに告げられた言葉。


現実を思い知るには充分過ぎるその意味に、唇を噛み締める。


「でも……」


だけど、そんなあたしを癒すように、お兄ちゃんの優しい声が降って来た。


「お前にも、きっと出来る事はある」


縋るように顔を上げると、向けられていたのは優しい笑顔。


その瞳が一瞬だけ雪ちゃんと重なって、胸の奥が締め付けられた。


「だから、そんな顔するな」


お兄ちゃんは、あたしの頭をポンポンと撫でた。