(―――2ヵ月、経ってる…)



愕然とした。
ただ信じられなかった。

2ヵ月間も目を覚まさないなんて、自分はいったいどんな状態だったのだろう。
家族は、母は、いったいどんな気持ちだったのだろう。
考えただけでも申し訳なくなる。

ちょうどその時、自分の病室の扉をノックする音が聞こえた。一応返事をする。
するとドアの向こう側の空気が一変するのがわかった。

自分が返事をしてから少し間を置いて、涙目の母が部屋に飛び込んできた。

「なつき、夏生っ!?」

「聞こえてるよ」

「ほんとに……なつき…?」

「ひどいな。自分の息子だろ?」

「……っ、なつきぃぃ…」

「はいはい」

自分の息子の前で大泣きする母を見て、愛されてるな、と思った。心配させてしまったな、とも。

俺は、自分の肩が母の涙で濡れたことを忘れないだろう。