「いいのか……明。本当に……お前はそれで」

彼が俺に問い掛けた理由。

それは俺がこれから《手にするモノ》と……《失うモノ》の重さの事。

……でも、俺はそれを分かっている。

「俺は大丈夫です。俺には……帰る場所がありますから」

呟く様な彼の問いに短く答えを返すと、彼は《そうか》と小さく呟いて、それから困った様に笑った。