「俺に……須藤家を継がせて下さい」
彼を見つめたままそう言い切ると、彼はその言葉を分かっていたのか、微かに笑みを浮かべて見せる。
「アナタが何を思って蓮を選んだのか、俺には充分過ぎる程に分かっています。それでも……俺を選んではくれませんか」
「……明」
彼はまた俺の名を呼んで、苦しそうに眉を顰めたまま俯く。
「蓮には俺から話します。ちゃんと向き合って話せば、蓮はきっと分かってくれる。だからお願いです。俺にこの家を継がせて下さい。……父さん」
その俺の言葉に彼は何か考える様に目を伏せ、それから……クスリと吐息を洩らした。