「俺はずっと……アナタを憎んでいた。あの人から目を背けて、逃げ出して、ロクに家にも帰ってこないアナタを、俺は心底軽蔑していた」 その俺の刺す様な言葉に、彼は何も答えないまま静かに目を伏せる。 「あの人が死んだ時も、アナタは涙一つ流さなかった。そんなアナタの姿を見て……思ったんです。アナタは何て残酷な人なんだろうかって」 そう言ってクスリと笑って見せると、彼はそれを否定も肯定もしないままそっと顔を上げた。