「……ごめん、ノラ」

「……え?」

急に謝った明を茫然と見つめたまま、小さく声を漏らす。

「ごめんな……ごめんノラ」

そう言って彼は、私の頬を伝う雫をそっと指で拭った。

いつの間にか……泣いていた。

治まっていた筈の涙が零れ落ち、ベッドのシーツに灰色のシミを作っている。

「……あ…きら……私……」

流していた涙に驚きそれを腕で拭う私に、明は優しく笑い掛けると、そっと私の頭を撫でる。

その優しい彼の笑みに……涙が溢れる様に流れ落ちた。