……違う。

本当は……ただ疲れただけだ。

残酷な真実を前に、私は自分を見失っている。

ただ楽な方へと、流されているだけ。

優しい明と一緒に居れば、私は自分の居場所を守る事が出来る。

ただそれだけの為に、彼を受け入れようとしている。

……違う。

私は明が大切だ。

明を傷付けたくない。

……違う。

流されているだけのくせに。

……違う。違う。違う。

頭の中をグルグルと矛盾した考えが廻り続け、それを振り払う様にきつく目を閉じ、強く彼を抱き締める。

……何が正しくて、何が間違っているのか、今の私には分からなかった。

ただ、今感じるのは……目の前の悲しい彼の温もりだけ。