「ノラが傍に居てくれるなら……俺は何もいらない。ノラが俺を必要としてくれるなら、俺はもう何もいらない」

あまりにも稚拙なその愛の告白に、ノラは何も答えようとはしなかった。

微かに体を震わせ涙を流したまま、静かに俺の言葉を聞いている。

「俺を選べ……ノラ。俺を……選んでくれ」

そう言って強く、強く彼女の冷たい体を抱き締めたまま、彼女の答えを待った。

その精一杯の俺の言葉に、ノラは涙の溢れる瞳で静かに俺を見上げる。

そして彼女の見せた悲しい瞳に笑みを返すと、それからそっと……彼女の頬に手を触れた。

それを彼女が拒む事は無く、氷の様に冷たい彼女の頬に触れたまま、彼女を真っ直ぐに見つめた。