「また、会いに行ってもいい?今度は車なんか絶対に乗って来ないし、アンタの好きな所でいいからさ遊んでよ。俺、アンタと……友達になりたい」

少年はとても真剣な顔をして僕を見つめると、静かに僕の答えを待っていた。

……友達?

その何も知らない彼の言葉に心の中で嘲笑を浮かべる。

……そんなモノに僕等がなれる筈なんてない。

だって僕等は……

そんな考えが頭の中を廻るが、少年の真っ直ぐな瞳が僕の思考を掻き乱す。

その瞳から目を逸らせないままその場に立ち尽くし……それから小さく口を開く。

「……うん」

短く簡潔なその答えに、少年が驚いた様に目を見開き、それからニッコリと太陽の様な眩しい笑みを浮かべた。

その答えに一番驚いているのは、僕自身だった。

……馬鹿だ。

……僕は馬鹿だ。

そんな事をして後悔するのは目に見えている。

彼と仲良くなれる筈なんてあるわけが……

「アンタの名前、教えてよ!!」

少年はそう言って僕の答えを待っている。

キラキラと眩しい太陽の様に笑顔を浮かべた彼を見つめたまま……小さく口を開く。

「……蓮。七瀬……蓮」

そう震える声で小さく名乗ると、少年はニッコリと笑って頷いて見せた。