「お、おい!!大丈夫かよ!!顔色悪いし、少し家で休んでいけば……」

「いいんだ。本当にごめんね。大丈夫だから……心配しないで」

「じゃあ、俺が送っていく!!歩きで送っていくから……」

「本当に大丈夫だから。……一人で帰らせて」

僕を心配そうに見つめる優しい少年の言葉を遮り、精一杯の笑みを返す。

……この子が悪いんじゃない。

この子は何も知らない。

……何も知らないんだ。

心の中でそう呟くと、そのままフラフラと歩き出す。

「ごめんな」

後ろから悲しい呟きが聞こえ、そっと後ろを振り返る。

すると少年はグッと拳を握り締めたまま、悲しそうに俯いている。

「俺の事……嫌いになった?」

その彼の問いに小さく胸が痛み……首を横に振って答えた。

その僕の答えに少年は顔を上げると、真っ直ぐに僕を見つめる。