「ねぇ、ノラは好きな人いないの?」

その俺の問い掛けにノラは冷蔵庫を開けたまま俺を振り返る。

「何でそんな事聞くの?」

ついさっき俺が言ったのと同じ言葉をノラは返すと、不思議そうに首を傾げる。

「ちょっと気になっただけ」

そうさっきの彼女と同じ台詞を返す。

……本当はちょっとどころか……《かなり》気になるが正解だけど。

そんな事を考えながらノラの答えを待つと、ノラは少し考える様に俯き、それからまた冷蔵庫の中に視線を戻した。