「ただいま~」

そう言って玄関の扉を開けると、真っ暗な部屋の中はシンと静まり返っている。

携帯の時計を確認すると、時刻はすでに八時半。

……蓮がこんな時間に外出するなんて珍しい。

そんな事を考えながら壁に付いているスイッチを押し部屋の電気を点けると、窓際に蠢く灰色の塊が見えた。