「……最っ低!!」

彼女はキッと鋭い瞳で俺を睨むと、更に持っていた鞄で俺の顔面を的確に狙ってくる。

「最低!!最悪!!クソ男!!」

そう言って彼女は繰り返し俺を鞄で叩き潰すと、ハァハァと息を荒げて俺を見つめた。

……こんな風に気の強い所が俺が気に入っていた理由。

こいつなら……《あの時》の様な事には決してならない。

その確信があったからこそ、今、別れを切り出せる。

「バーカ!もう知らない!!あんたなんかこっちから願い下げよ!!」

彼女はそう言ってフンと鼻を鳴らすと、そのままドスドスと足音を立てて部屋の出口へと向かって行く。

そしてガチャリと部屋のドアを開けると……静かに俺を振り返った。