そんな事をうだうだ考えていたら教室についた。席順はまだ分からないらしく、各々好きな人と好きな席に座っている。

私達も亜美と一緒に適当な席に座る。

「あっ!あの人だよ、壱香。さっき言ってた超イケメン。」

そう言って指差す(失礼)先には、派手めな男の子達と楽しそうに談笑するイケメンがいた。っていうかさっき体育館で目が合ったあの人だ。へぇ。同じクラスなんだ。

などと冷静な反応が出来るわけもなく。
ど、どうしよう!かっこいい!っていうか人気ものなんだなぁ、人望ある人っていいよね。イケメンでもナルシストで性格悪いとか最悪だよね。あぁ、かっこいいなぁ。
にやけながら彼を見つめていると、向こうも気付いたのか私達に軽く手を振ってくれた。爽やかな笑顔付きで。

「わわっ手振ってくれたよ?もしかしてもしかして、壱香に気があったり無かったり?
…ん?おお?壱香も相手が気になるの?」

私の様子に気付いた亜美がニヤニヤしながらまくしたてる。

「声が大きい!別にそんなんじゃないよ。それに、向こうもちょっとしたサービス精神でしただけでしょうに。」

「そんなんってどんなの?えっ本格的にそんな感じ?今度こそ壱香にも春が来るの?今の壱香は蕾だけどもうすぐ花咲きまーすって感じ感じ?」

「うっうるさい!違うってば!確かに最初はかっこいいかなーって思ったけど、まだどっちか分かんない!」

「ふふふ。と、いうことはですな。あの人が壱香の王子様候補ってことか〜」

今までのからかう様な笑みとは打って変わって心底嬉しそうな顔で笑う亜美に、私は何故か急に不安になった。もし、あの人が王子役の人だったら。もし、姫役が彼のことを好きになってしまったら。私は諦められるのだろうか。ここは前の世界とは違って、人殺しはどんなに偉い人であっても許されない。王子様に倒されて、はい終わり。という訳にはいかないのだ。ENDマークの後でも話は続いている。


私はそれに耐えられるのだろうか。