一之瀬の父はそれをすべて分かった上で、話をしていた・・・

そして、考えがまとまらず、悩んでいる俊哉に一言伝えた。


「俊哉くん。悩むことは人間を大きくさせてくれるから、
 とても大切なこと。

 ただし、社長ということを忘れてはいけない。
 社長はどれだけ外の人間に恨まれているかで器が決まる。
 社員を守るためならば、社長が悪者になるのも必要だよ。

 前にも言ったかな・・・」


そう言われる俊哉に一本の光がみえていた・・・

社長の俺に一之瀬社長は声をかけているということ・・・

このことは、きっと俺が社長として、男として成長するのに必要な壁なのではないだろうか・・・

以前 何かに書いてあった・・・
「乗り越えるべき壁があることはよいことだ。
壁は挫折するために立ちはだかるのではない・・・
成長するために立ちはだかるのだ・・・」


そう・・・この時決心をした。