帰宅してから2時間が経過したころ、前田夫婦がやってきた…


「としや…久しぶりだな…迷惑かけたな…」

「何を気持ちの悪いことを言っている?お前の迷惑は今に始まったことじゃないだろ…」

「そうか。美咲ちゃんもありがとう…さっき職場に寄ってきたら、トラブルもなく、助かったよ…」

『そんな…こちらこそ、大変な時に伺えなくてすいませんでした…』

「いや。あの状況で俺が抜けることが悪かったんだ…でもここまでしてあるとは、二人に感謝だよ…きっと大変な日々だったんだろうと…」

リビングまで、来ると4人でソファーに座った…

課長は言いにくそうに俊哉に向って言葉を発した…

「これ、辞表…すまないが、このまま受理してくれ…これはみなみとも相談して決めたことだ…」

辞表は2通あった…

俊哉は重い口を開いた…

「親父さんの様態はよくないのか?」

「いや、生きてるよ…ただ、頭の腫瘍を取り除いた時に頭の大切な部分を刺激してしまったらしく、左半分のマヒが残り、仕事はできない…
俺が、前田物産の社長に就任することになった」

きっと、選択肢はそれしかないのに
二人で何日も何日も話しあったに違いない…
この結果に私たちは分かったと伝えることしかできなかった。。。


その月末、バタバタとしながら、前田課長とみなみは退職をした…

前田課長の仕事は俊哉がとりあえず引き取った…