保健室のドアを開けると
白衣の後ろ姿が
あたしの目をとらえた。




「先生…」


振り向いた顔は
状況が飲み込めないみたいだった。


「ど、どうした?怪我したのか?」


ゆっくり
ゆっくり、
先生との距離を縮めるように、
両足を動かす。



「ちょっと待てよ、今消毒液用意するから」


ちがうよ。
先生。違うの。



気付けば
先生とあたしの距離は
もうほとんど無かった。



「どうした?今日のお前、何か変……―」


理性、なんか
抑えられるはずなかった。


気付けば
自分の唇が
先生と重なってた。



顔じゅうが
火照ってるのなんて
知らないふりした。