結局ナオとの話はそこで途切れてしまい(匠が席に戻ってきて、ナオは『匠さんには黙っていて下さいね!』と慌てて囁いたから)、私達は即座に口をつぐんだ。
それから先、ナオには全く会っていない。
ただ、会わずとも匠の口からナオの名前が出てくることはしばしばあるから、それなりに元気にしているのかなあなんて呑気に思っていた。


「あやめっ、お待ちどおさま!」


突然視界に匠がにゅっと現れて、私はいかに自分がぼーっとしていたかを知った。
ニュースなんてとうに終わっていて、テレビを観ていたはずなのに何一つ記憶に残っていない。
テーブルの上には、予想していた通りの茸のパスタが2皿。


「…あー、お腹すいたーっ!」


私はわざとらしいくらいのリアクションで、皿に添えられたフォークを手に取った。