私にこのジュエリーが似合う女かどうかは分からないけれど、全くそぐわないことはないと思っている。
その自信はどこから来るのか分からない、でも、私は人より何倍も逞しい。
そんな私が自分を預けられるのが愛美という存在だった。


「それじゃ、やっぱり食べに行く?」


リングの陳列を終えた愛美が、ジュエリーケースの鍵をかけた。
平日の昼間は、どうにも来店客数が伸び悩む。
うちのような人気店でも。
だから、こんなふうに堂々とお喋りをしていても、誰も気には止めないんだ。


「ううん、今日はやっぱりごめんね」


私は整理していた伝票の束を閉じ、引き出しに片付けた。
1ヶ月前、私の顧客がオーダーしたピアスの値段が、今作ると少し値上がりしていることが分かった。
匠に似合いそうだからプレゼントしたかったんだけど、ちょっと予算オーバーだな。