2年前に新卒でこの会社に入社した時、「ジュエリーの売り子なんて、誰にだってできる仕事だ」と思っていた。
大学を出てまでやるべき仕事じゃない…と。
しかしながら、決して卑屈になっていたわけでもない。
誰にだってできる、だから、私だってできるはずだという自信があった。
だから、さして興味のない地金の特性やダイヤモンドについても、頑張って勉強してきた。
この仕事に夢なんて何ひとつ抱いていないが、自分の努力次第でそれなりに稼ぐことはできる。
それに、仕事とはどれだけ苦であっても、「やらなければならないこと」だと思っている。
私の会社は、主にシルバーのジュエリーを取り扱う。
シルバーとは言え、こうして百貨店のテナントに参入するくらいだ、単価も安くはない。
ひとつひとつがずしっと重たく、綺麗に身につけるのは意外と難しい。