二人でエレベーターホールに向かった。



「夜景見るの忘れたから…少し見ていい?」



「え、あ…いいけど。時間、大丈夫か?」


「遅くなるって澪生にメールはした」


「そっか~」


「そっちは?」


「俺もメールはした…」



俺は一応、腕時計を覗き、時間を確かめる。



ビストロとBARの間の細い通路を抜けて、小さな展望スペースへと出た。



先客の若いカップルが誰もいないのを、いいコトに抱き合いキスを交わしていた。



俺たちは見ない振りをして、ガラス越しの都心の夜景を見つめた。