父の死を迎えてから、

一年が経とうとしていた。

有喜も母も、

父の悲しみから

ようやく解き放たれていた。

有喜の病魔は

一向に足取りを

止めることはなかった。

同じ事を

何度も話したり、

突然

お父さん元気かな?

等と言ったり

することがあった。

日記の内容も

時々

支離滅裂な事が書いてあったりし、

純一は

不安が募る一方だった。

このまま、

放っておいても

悪化の意図を辿る一方だ。

と純一は決意した。

「有喜、

明日海に行こう!

夕方迎えに来るから

準備しとけよ。」

そう有喜に告げ、

忘れないよう日記にも

書き記した。
次の日の夕方、

純一は

有喜を連れだし、

海へ行った。

「ここ、覚えてるか?

今までも

何度か一緒に行った場所。

俺にとっては

有喜との想い出の1つ

だな。」

「何臭い事言ってんの~。」

有喜はそう言い笑ったが、

何故かぎこちなかった。

少し照れながら

純一は頬を真っ赤にした。

「じゃぁ、

本題に入るぞ。

有喜、

俺はお前の全てが好きだ。

何事にも一生懸命で、

とても優しくて、

俺は有喜と出会えて

幸せだと思う。

これからも

ずっと一緒にいたいし、

有喜を幸せにしていきたいし、

守りたいんだ!

有喜の人生を

俺に預けてくれないか?

結婚しよう。」

有喜の目には

涙が溢れていた。