純一は有喜への気分転換の為にと、

3人でプチ旅行を計画しようと

考え有喜の家にやって来た。

純一は沢山のパンフレットを持ち、

有喜に見せた。
 
「これ、どうしたの?」

有喜は目を輝かせて

純一に問う。

「有喜と有喜のお母さんと

 一緒に旅行に行こうと思って。

 いい案だと思わないかい?」

純一は優しい笑みで

有喜に問いかける。

有喜は

「行く!」

即答だった。

純一はお母さんに

旅行話を持ちかける。
 
「思い出はみんなで作りたい。

 有喜も行きたがってるみたいだし、

 お母さんと3人で行きましょう。」

母はとても喜んだ。
 
「有喜はあなたのような

 純粋に愛してくれる人と出会えて、

 幸せだわ。

 あなたの

 前向きな気持ちがあるからこそ、

 今の有喜があるのだなって、

 つくづく思います。

 ありがとう。

 私はその気持ちだけで

 十分だから、

 旅行は2人で

 行って来て。

 私はその時間を利用して、

 お父さんに会いに行ってくるわ。

 有喜を一人残して

 病院に行けなかったから…。

 有喜を連れて行って、

 もしもお父さんの状態が良くなかったら

 有喜は同じ病気だから

 ショックは大きいと思うの…。

 有喜には辛い思いは

 極力させたくないから。

 旅行でおもいっきり

 気分転換させてあげてね。」

大切な人を想う母の気持ちが、

純一には痛いほど

良くわかった。

純一は力強く頷いた。

有喜は

旅行のパンフレットを眺めながら、

表紙の写真に

2人の姿を当てはめ

想像を膨らましている。
 
「温泉と遊園地

 どっちがいいかなー。

 食べ歩きも憧れるかも~。」

有喜の顔には

溢れんばかりの笑顔で

いっぱいである。