一ページ目には現病歴と書いてあり、

目を下げると病名

『アルツハイマー疑い』

の文字が…。

有喜は自分の目を疑い、

もう一度カルテの背表紙で

自分の名前を確かめる。

確かに自分のだ…。

有喜はその場に崩れ落ちた。

『アルツハイマー』

の6文字が

有喜の頭を巡る。

有喜の目には

父の無惨な姿が目に浮かんだ。

有喜の父は

今では精神病院に収容されているが、

手が付けられなくなるまでは

家で母と介護をしていた。

記憶に新しい方では

冷蔵庫を漁ったり、

徘徊をして何度も迷子になったり

という姿を見てきている。

有喜は、将来の自分の姿と

父の姿を照らし合わせ、

生気を失った。

今日を境に

有喜はますます

鬱が強くなっていった。