「有喜、

 言いたい事があるなら

 言ってくれ。

 でも、これだけは理解して欲しい。

 有喜だけが

 寂しい思いをしている訳じゃないんだ。

 俺も寂しいし、

 仕事が忙しいのは仕方がないんだ。

 会いたいけど、

 お互い仕事をしているから

 会えない。

 それは解ってくれな。」
 
純一の説得もむなしく、

有喜は全く聞く耳持たずである。

まるで人形に話しているかの様に

有喜は

怒りも泣きも笑いもしない。

そんな有喜を見て、

純一は少し嫌な予感がした。

少しの間2人の時間を楽しむが、

何故かいつもと雰囲気が違う。

有喜は

どうしてしまったんだろう…。

純一は

一人頭を抱えて悩む。

これ以上会える時間は増える事はなくても、

減る事は考えられる。

これ以上有喜を

一人には出来ないかもな…。

純一は有喜と会っている間、

そんな事を頭の隅で考えながら、

2人の将来の事を

今まで以上に真剣に考えるようになっていった。