「私、

 今生きてる?」

有喜の口から、

急にそんな言葉が

出てきた。

純一は

ビックリした。

「生きてるよ!

 当たり前だろ。

 今こうして

 同じ時間を過ごしてる。」

「本当?

 それはどうやったら

 分かるの?」

有喜の素朴な疑問に

純一は戸惑った。

純一は

部屋の奥から

砂時計を持ち出してきた。

「これをみてごらん。」

純一は

砂時計を

ひっくり返した。

「これが全部流れきったら

 5分。

 こうしている間も、

 ほら

 砂時計は動いているよ。

 まるで

 息をしてるみたいだね。」

純一は

有喜に優しく問いかけた。

「ほんとだぁ~。

 なんか懐かしぃー。」

有喜は

砂時計を

毎日眺めては

ひっくり返し

眺めては

ひっくり返し…

続けていた。

数日後

有喜の状態は

急変した。

「有喜!

 有喜!」

呼びかけても

返答が無い。

すぐさま

病院へ駆けつけた。

すぐに点滴をされ、

有喜の意識は

朦朧としていた。