そんな有喜を見るたびに、

純一は

切なくて

仕方なかった。

「今日ね

 御手洗って名前、

 汚いって

 またみんなが

 言うの…。

 毎日毎日、

 みんなに

 いじめられる…。」

純一は

過去の

有喜の現状を

知った。

ツンとして

負けず嫌いの有喜は

ここから生まれたんだ…。

そう感じた。

「そんなこと無いよー。

 み御手洗って

 神様を拝む前に

 手を洗って

 清めるところなんだよ。

 だから、

 凄くいい名前だよ。

 それに

 有喜だって、

 喜びや嬉しいことが

 沢山ありますように

 ってお母さんとお父さんが

 付けてくれた名前なんだよ。

 だから、

 有喜は

 決して名前を恥じること

 無いんだよ。」

純一は

優しくそう答えた。

「ふぅ~ん。

 よくわかんないけど、

 でも、

 なんか

 嬉しい。」

有喜の顔が

少し微笑んだかのように

見えた。

純一は

自分のことを

1秒でも思い出してくれればと

毎日

2人で書き上げた

日記帳も

読み聞かせた。