流されて、ここへやって来たと思われる、丸太の大木が、


ちょうど良く、二人のベンチになってくれた。



6月の海はやっぱりまだ、風が冷たい。


「寒いね。」


お互いに、一瞬、眉をひそめたけれど、



それよりも、
さっきまで、真っ暗で何も見えなかった、周りの景色が、


目も慣れてきて、見えるようになってきたせいもあって、


もっともっとここにいたい気持ちが勝った。



「そういえば、昨日ニュースみた?」


「何の?」


「身元不明の…上がったらしいよ! 新港で。」


ライターを回すあたしの親指が、一時停止して善の方に顔をあげると、


「理央さん!ソレ、足元!!!」


「え??  っぎゃぁぁぁあ〜」



真夜中の砂浜には、それらしい影の物体が、たくさん上がっている。



予想外の手応えに慌てて善は


「んははっ、ごめん。やりすぎちゃったね。」



「もぉ〜、めっちゃ、隣じゃん、港。善、ばぁ〜か。

マヂ、心臓バクバクだよっ


んもぉぉぉぉォ―!!」