善は、ほぼ、どこをとっても、いいパーツ揃いだったけれど、



唯一のコンプレックスは、

その、典型的なサッカー体系というところで、



どちらかというと、足長いね!と言われるタイプではない。


この場に及んでの、その台詞に、あたしは吹き出した。


「っ、ですよねぇ〜 長いわ、やっぱかなわないわっ・ハハっ アハはハァ〜っ」


「っつぅ〜か…何よ? あっ、違う、違う、オレ、若いからさぁっ!」


自分も、呼吸がちょっと乱れてるくせに!それを言うか!



あたしは、留めの一発で善の脇腹に一撃見舞った。



あたしの息切れは、その時もっと、限界で、


善への一発で、前屈みになり、膝に手を乗せてないと、倒れこみそうだったけれど、


最後の力で顔をあげ、ニヤリして、さっきの「にぃ」に、仕返ししてやった。




海側の堤防の階段を椅子にして、二人並んで、遠くを眺める。


しばらく、黙ったまま、その景色の中にいた。




善のマルメンとあたしのメンソールの縄編み状の煙が、海とは逆の方向に高く上っていく。