「どうしよう どうしよう…。」

助手席で美里が泣きじゃくってる。

俺の携帯も鳴り始めた。

姉貴だ・・・・。


「もし・・・・。」

「あんた 今から迎えに行くから
今日は仕事休みなさいよ!!」

ものすごいでっかい声で 俺は思わず
携帯を耳から離した。

「何?」

「姫ちゃんが 大変なんだって!!!」

美里が振り返った。


「いい!?何があってもあんたを連れて行くからね!!」

美里が俺の携帯をとりあげた。

「もしもし 私姫の友達なんですけど
今 宗方 拉致して 姫のとこ向かってます。」


「ほんと!?ありがと~~!!私たちもこれから
向かうからうちの バカな弟 無事に
姫ちゃんのとこに送り届けてね!!!」

「わかりました。」

電話を切って 美里が俺を睨みつけた。


「あんた・・・どんだけ姫が
あんたのこと大好きなのか…一途に愛してんのか……
あんたたちイライラする。
お互いを好きすぎて優しすぎて
だからすれ違うんだよ……わがままになればいい。
そばにいてって言えばいいのに……。」

俺が茫然としてると

「俺は姫とは何でもないから。
おまえを苦しめないための嘘だから・・・・。
姫が・・・あのあとどんだけ泣いたか・・・・・。」


嘘…嘘って何・・・・・。