「おい。」

「おいって おまえだよ おまえ。」

  誰か呼ばれてるよ。

私は地面を見ながら 今日の最悪日を振り返っていた。

突然 肩に痛みを感じて顔をあげると
宗方が怒った顔をして立っていた。

「あ……あの……。」口がパクパクしてる。

「何回呼んだと思ってんだ?
俺は 気が短いんだ。」


  怖いよ……

今日の ぶっ殺すぞ を思い出した。


「な…何か?」

「いい加減…思いだせないかな?」

「はい?」

重い前髪の隙間から 恐る恐る
宗方を盗み見したら 眉の間に深いしわ……。

「おまえさ……。」

宗方は壁のように私の前に立ちはだかった。

「まさか会えるとは思わなかったけどよ。
おい あの時俺に黒猫を押しつけただろ?」


黒猫・・・・・。

「あ…あ~~~あの時の・・・・・。」

思わず大きな声が出てしまった。