ーーーーーゴホン。



しばらく、ボーッと眺めていると咳払いが聞こえた。


ハッと、我にかえる。


不意に視線を上げると、不思議そうに私を見つめる瞳。


「俺に何か用?」


問いかけに反応出来ない。


彼の瞳に目を奪われる。







「い、いえ。」




震える声でそう答えるのが精一杯だった。



「本当に?さっきからこっち見てた気がするけど、気のせい?」


気のせいじゃない。


確かに見てたけど……


何て説明すればいいんだろう。



あなたに取られた席を恨めしくみてましたって?





子供か!


いや、バカだ。