理解されなくても良いんだ!
俺は目を冷まさなくてはならない。
俺は何度でも言い聞かす。
理解されなくても良いと。
生きる為に俺は甘えを捨てなくてはならない。
俺は理解者でさえ捨てる。
完全な無よりは孤独の方が断然ましだ。
俺はどん底から這い上がる為に自ら棘の道を進む。
これは宿命。
死を避ける為の宿命だ。
俺を理解出来ない者は俺に関わるな。
どうせ正義をはき違えた偽善者共は俺に死ぬ事を強要する。
俺の行く末が吉か凶か等わからない。
だが俺は一人で突き進む。
余計な事を考えるのは極力避けておきたいところだ。
だが俺の頭は冷静になれずに依然として混沌としていた。
偶然に偶然が重なって今俺はどうすることも出来ない。
恐怖や絶望、憎しみや不信感等が交差し、俺は意識が薄かった。
かなりその時はぼーっとしていた。
しかしそんな意識を包む霧を遮るような声がした。
「沢田くん!沢田くん!」
微かだが俺を呼ぶ者の声が聞こえた。
目の前を見た。
「久し振りにあったのに何で無視すんの!
感じ悪ぅい…。」
この女は小学生の時の同級生だ。
名前は「五十嵐由美(いがらしゆみ)」
今は人と関わりたくないのに面倒な奴だ。
だが俺が今から人を殺す事を察されたら不味い。
愛想は良くしておきたかった。
「ごめん部活で疲れてて…。」
あながち嘘でもない事を俺は言った。