頭の中がぐっちゃぐちゃで疲れた。
しかし安らぐ事など出来ない。
嫌でも死に怯え続けなくてはならないのだから。
いかにして「もう一人」を殺せば良いのだろうか…。
人を殺めるということは容易ではない。
ましてやそれが世界で唯一の理解者なのだから少しは抵抗がある。
俺は自己暗示をかけ続けた。
俺は理解されなくても良いんだ。
俺は理解されなくても良いんだ。
俺は理解されなくても良いんだ。
暗示するごとに切なさが込み上げてくる。
俺の頬に何か生ぬるい感触がした。
俺は顔を触った。
涙…。
無意識のうちに流していた涙。
恐怖に怯え現実を悲観した事により生まれた涙だ。
俺だって出来ることなら理解はされたい。
この自己暗示はあくまでも妥協。
妥協に過ぎないのだ。
俺は今掴める未来の中で最善の物を選ぼうとしているだけだ。
早く殺して楽になりたい。
楽になれるなんて思ってはいないが楽になりたい。
俺には未来を掴む権利があるはずだ。
俺は服の袖で涙を拭いた。