死に対する恐怖が俺の頭を惑わす。
もう一人を殺す為のプランを練りたいのだがこんな状態で果たして冷静になれるのだろうか。
あんな話を聞いてしかも話を終えてからまだ五分も経っていない。
だがこの五分は長い。
俺はこの五分間怯え続け今も尚恐怖に踊らされ、弄ばれている。
皮肉にも今現状この苦境を分かち合える者は「もう一人」しかいない。
だが今理解者がいたって関係はない。
「もう一人」を殺したら記憶からこの事を抹消し、何も背負わずに俺は生きる。
そもそも俺は他人に理解して欲しい訳ではないのだ。
俺の状況、立場を理解してもいない者が俺に口出しをする。
それが俺は不満だ。
偽善者と群れるなど御免だ。
なんなら俺が孤立したっていい。
当然他人の為に人を殺せる者もいないだろう。
それに「もう一人」も歴とした人間。
俺は一人で「もう一人」を殺す。
そして俺は孤立を選ぶんだ。
誰を信じれば良いかはわからない。
だが別に構わない。
誰も信じなければ良いだけなのだから。
俺は殺す。
この世で唯一の理解者を…。