「俺は絶対に生き残る。
もう一人の命を奪ってでも。
もう二言はない。
奴はこの手でっ!」
俺は言い張った。
俺はもう失敗した時の事等考えていない。
当然、事が上手く運ぶとも思ってはいない。
だが奴への殺意で頭がいっぱいだった。
「お世話になりました。
俺はもう自分の意志で動きます。
では。」
俺は神主にそう告げると神社を後にした。
正しい生き方とか…そんな事は今では戯れ言に感じる。
俺の立場でない人間は皆…もう一人を殺す事に反対するだろう。
しかし所詮そんな奴らは偽善者にすぎない。
そんな奴らも俺と同じ立場なら……
殺すはずだ。もう一人を…。
だが俺は一つ疑問を感じた。
俺は何の為に生きているのだろう。
一ヶ月後の死がもし何の苦しみも伴わない死ならそれでも良いのだろうか。
しかし俺は感じた。
無に対する恐怖を。
死は永久の空虚……
そして今俺は生きている。
今ある俺の全ては俺が死んだ時なくなるのだ。
それを恐れぬ者等いるのだろうか。
俺には検討がつかない。
だが俺が死を選ぶ事は……絶対にない。