「緋狭姉…その焼き印は何だよ!!?」


煌の叫びに、緋狭様は顔だけをこちらに向けた。



「黄の印(いん)。


これがある限り――

私はどこまでも五皇だ」



それはまるで――


「魔方陣…」


呟いた私に、緋狭様の自嘲気な笑いが聞こえた。



そして襦袢を正すと、真っ正面から私達に向き直る。



「いいか、狂劇の第一幕は既に始まり、

これから…第二幕に入る。


死に至る…破滅の章に」



私達は緋狭様をただ見つめていて。

緋狭様は、僅かに目を細めた。



「夢に流されるな」



そう言った。



「狂った旋律の調べに縛られるな。


夢と現の境を、自らの意志でつけよ」



それは多分――



「つけられねば、私みたいに囚われる」


私達へのヒント。


緋狭様は、一体何を?


その時――


誰かの腕時計のアラームが鳴って。


玲様だった。



「2時間…2分前だ」



私は――唇を噛んだ。