賢「……お前はもう器ではない。白棹の封印が解けたことにより呪いも消えたんだろう?」
そうなのだ。あの日、瀬織津姫が私の中に入った時、祓戸大神である彼女がついでに私の胸に刻まれた呪印を浄化したらしい。
だが、それは
翠「…呪いを刻んだのはジジ様です。封印は解かれ呪いも消えたことにあの方が気付かない訳ない。それでもあの方は私を器と呼んだ。それが答えです。」
器が意志を持ってはいけない。器が希望など持ってはいけない。器が誰かを愛し愛されてはいけない。
幼い頃より言われ続けたそれは今も自分は"人であってはいけない"と思わせている。
私はモノ。持ち主に使われ続け、壊れれば捨てられるだけの…モノ。
賢「翠!」
グッと顎を持ち上げられ、間近で阿部先生を見詰める。
翠「い、痛い、です。兄様…」