必死に感情を抑え、訴える。ここでもし彼と友人だとバレて、あまつ今回の事がわかればジジ様は彼を弟子に迎える。そして芋づる式に龍之介、飛鳥、蓮も巻き込まれるだろう。

翠(それだけは阻止しなければ!)

秋「クラスメイト、友人か?」

翠「私は器です。器に友など必要ない、そうでしょう。」

拓「なっ、翠!?」

何か反論しようと口を開いた拓海を目で制し、翠はジジ様の前に出る。

翠「申し訳ありませんが、今日1日はここにいさせて頂けませんか?希美様にも挨拶をしたいのです。」

頭を下げ、ジジ様の答えを待つ。たったこれだけで手は緊張で震えていた。

秋「……良かろう。だが、今日の17時までだ。17時には特急で帰るぞ。」

翠「! 有難う御座います!!」

ジジ様は振り返ることなく階段を降りていき、翠はやっと身体から力が抜けた。

翠「き、緊張した~(半泣)」

脱力のあまり廊下に座り込んでしまった。

賢「大丈夫か?」

心配そうに阿部先生が覗き込んできたので笑顔で応える。