翠「……確かに、疲れたよ?祓っても祓っても、妖が人を襲う。私が倒しても"化け物が化け物を倒した"と言われ続ける。」

目を伏せ我知らず拳を握る。

緋【我と来れば、その様な想いはせぬ。】

賢「翠の両親を殺した貴様が何を…!」

阿部先生は苦虫を噛むように顔を歪ませる。

翠「誰にも認められない。誰にも愛されない。ならばいっそ化け物と…化け物となり堕ちてしまおうかと、考えたことがあるのも事実。」

白【…翠】

翠「けど」

凛とした声が響く。

翠「けど、私が化け物となることで白棹まで化け物と呼ばれたくはなかった。兄様が生きていたら絶対に止められると思った。」

まっすぐに緋月を見据え翠はきっぱりと告げた。

翠「私は捨てない。認められなかろうと愛されなかろうと今の全てを捨てるつもりはない!」