賢「翠、おい!馬鹿な事考えるなよ!!」

緋【だと言うに、そなたは白棹を宿すため、人の為に戦わなくてはならぬ。
もう良いのではないか?自分を忌み嫌うモノの為に力を使わず人を止め、我のモノとなれ。】

手を差し出しながらゆっくりと翠に近付く。

賢「やめろ緋月!翠に触れるな!」

白棹から無理矢理離れ、翠の肩をグイッと引き抱き寄せる。

緋【…邪魔立てする気か?阿部の。】

緋月は不快だったのか眉をひそめた。

賢「お前に翠は渡さない!」

きっぱりと言い捨て、翠を庇うように前に出る。

バチバチと睨み合い、お互い全く退かない。先に動いたのは…


―――翠だった―――


賢「翠!?」

緋【ほう?】

阿部先生を押し退け翠は静かに緋月に近付く。