翠「! 兄様!!」

急いで駆け寄り抱き寄せた。

翠「兄様、しっかりなさって下さい!」

賢「ゲホッ…ゴホッ…いって…何だ今の…?
!? 翠、気を付けろ。今の食らうと身体が動かないぞ。」

咳き込みながらハッとしたように左腕を庇う。よく見ると、その腕は黒く障気に侵されていた。

翠「兄様、その腕…!」

賢「大丈夫、心配するな。まだ右腕がある。」

軽く笑い、立ち上がり札を構えた。

緋【無理をするものではないぞ阿部の。今はその程度でもジワジワと侵食し、いずれ心の臓も侵されよう。そうなれば死ぬだけよ。】

賢「うっせぇな緋月。仮にそうでも、テメェを道連れに死んでやらぁ!」

不敵に笑う阿部先生に焦りは無い。

翠「そんなん私が許さへんよ。兄様は死なせへん!」

刀を構え、体勢を低くとる。

今は一刻も早く奴を倒さねば…