「桜ヶ屋千里!」

入学式が終わり、バラバラに退場した生徒のなかをくぐりながら歩いていけば、
千里は名前を呼ばれた。

ゆっくりと、嫌そーな顔をして振り向けば


「…さっきの壁よじ登り野郎。」

と指を指した。

そんな千里にそいつは肩を落とす。

「な、なにそれ?
俺の名前はなー…」

「別にどーでもいい。」

ぴしゃり、


周りが凍った気がした。

千里はふぅ、とため息をつくと、
その男に背中を向けて歩きだす。

「え、えええぇ!?ま、まってよ千里!」

「名前で呼ぶな。」

男の呼び声にも止まらず、
千里はどんどん足を進める。

「た、のむからー!少しだけはなそーぜー!」

ガシッ

と肩を掴んだ男に千里は…


「あたしの後ろに、立つなぁあぁあ!!!!!」


柔道の技で倒した。

「………か、かっけー…」


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