高校の門の前に千里はたつ。
………なんで閉まってんの。
普段なら開いているはず。
……いや、絶対あいてるのだ。
そうだ。開いてるのに、
今彼女が見る校門の“門”は閉ざされている。
ぴしゃり、と。
「…なにこれ?第一の試験的な?
飛び越えろって?そんな鳥みたいなやつが、」
…
イタ――――――!!!
「おいしょっ、」
な、なんなんだこいつは、
壁よじ登ってる…!?
ていうか、何故門じゃなくて壁!?ねぇ、ねぇ!?
そうだ。
そうなのだ。
すぐ隣にいた茶色の髪に黄色いパーカーをブレザーの中に着ている男は
壁をよじ登っている。
「あ、れ?女の子?
……君も早く登らないと入学式遅刻するよ。」
ニコリと笑う無邪気な彼の笑顔に普通の女の子ならイチコロだろう。
だが、千里は違った。
……やべ、蕁麻疹でてるかも。
イケメンの笑顔に蕁麻疹(ときどき)を出してしまう体質なのだ。
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