さぁ、

と風が吹き、桜の木下をたまたま通った女の子の、
綺麗に染まったはちみつ色の髪の毛が揺れる。

「…最悪」

小さく舌打ちをして、崩れた髪を直す女の子の名前は、

桜ヶ屋 千里。

“一度は好きになる。”

そういう女の子だ。

そして、その子がこれから向かう場所は高校。

この春、この子は高校生になるのだ。



「……あぁ、足いたい。もう帰っていいかな。」


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