第2話 好き
角を曲がった途端、いきなり後ろから腕を掴まれた。
私はなんの構えもしていなかったから、掴んだ相手の思うがままになった。
え~と。。。状況が分らない。。。
いきなり腕を掴まれて、塀に押し付けられる感じな体勢になってて、目の前には鼻息の荒い太ったおじさん。
全然分かんないっ!!!
てかこのおじさん、誰!!!?

「もしかして泣いてるの?」
はぁ???
いきなり何?
「泣いてません。早く手を離してください。」
精一杯睨んだ。
・・・はずが、全然おじさんにきかない・・・。
「もしかして、それで睨んだつもり???可愛いなぁ~。だけど、嘘はよくないよ、嘘は。泣いてたでしょ?おじさんが話聞いてあげるから、ついてきて」
とか意味の分からない事を言いながら、私の腕を引っ張って勝手に連れていこうとする。
え?ちょっ、もしかして私、変な所に連れて行かれる!?
阻止しないと!!!
「・・・っ!」
どうしよう・・・。
声が出てこないよ。
怖いよ・・・。
助けてよ・・蓮・・・。

グイッ
また後ろから誰かに引きう寄せられた。
またぁ!?
今度はどんな奴?
顔を上げて、引っ張ってきた人を見ると、蓮だった。
もしかして、あの後探しに来てくれたのかなぁ?
しかも汗だく。
自転車で汗だくになる位一生懸命探してくれたんだ・・・。
どうしよう、さっきまで変な所に連れて行かれそうで怖くて、今度は蓮への気持ちを抑えられなくなりそうで怖いよ。。。