駅について時計を見た。


バスの時間まではまだ少しある。


暇潰しに駅の中をなんとなく歩いていた。


少し俯き加減だったせいで、前から来る人に気付かずに、


ドンッ!


と、音をたてて私はおもいっきり尻餅をついて転んだ。


打つかったのはサラリーマンらしきスーツを着た男の人だった。



「ご、ごめんなさい…」



あまりの痛さに、私は泣きそうになりながら謝った。


男の人は私を睨み付け、その場を立ち去った。


私が持っていた荷物は、中身が殆んど床に散らばっている。



ちゃんと前を見てなかった私が悪いけど、睨むことないじゃん!


…ついてないなぁとか思いながら、先生に貰ったいちご・オレを一番に拾う。



「大丈夫?」



突然声を掛けられて、私はゆっくりと顔を上げた。


最初に黒いズボンが見えて、上に行くにつれそれが学ランだとわかる。


第2ボタンから上が外されていて、ラフな格好になっていた。


少し腰を低くして私の前に立っていたのは、眼鏡を掛けた彼だった。